主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え、希望を与えようとするものである。
(エレミヤ書 29:11)
私は「ラジオビジネス英語」を聴いています。木曜日は、ビジネスで使うe-mailを取り上げています。今回は、2025年4月から始まったシリーズの再放送で、英文メールの書き方などの説明がされていました。
大昔働きながら通っていた外資系秘書養成学校で習った英文ビジネスレターとは随分違うと感じることが多くなりました。それについて、まとめてみようと思います。当時は60wpm前後の人はざらにいましたが、PCの時代になった今は違うかも知れません。
当時はビジネスレターにもいろいろなレイアウトがあり、Full Block Style、Modified Block Styleなど、それぞれ書き方が決まっていました。ところが今のe-mailは、ほとんどすべて左揃えになっています。
「ラジオビジネス英語」で改めて知ったことは下記のとおりです。
文章の書き出しの「Dear~」は、社外やフォーマルな相手には使いますが、同じ会社の人などには「Hi~」のように、Hiで始めるのがごく普通だそうです。私が英文メールを書いていたのは殆ど秘書時代までなので、人事に異動してからは日本語がメインでした。なので、いつの間に変わってしまったの?という感じです。😅
さらに番組では、
Dear Mr 〇〇/Hi 〇〇
Regards
のように、Mrの後のピリオドや、呼びかけ・結びの後のコンマを付けないスタイルも紹介されています。
私が最後の正社員の会社を辞めてから11年。その間に英文ビジネスメールはこんなに変わったの?と思ったのですが、調べてみると、単にこの11年間で変わったという話ではないようです。
ピリオドの後は「2スペース」だった
もう一つ思い出したのが、英文タイプで習った「文と文の間のスペース」です。
昔は、
This is the first sentence. This is the second sentence.
と、ピリオドの後にスペースを2つ入れていました。
今は、
This is the first sentence. This is the second sentence.
と1スペースです。
これはe-mailだけのルールではありません。現在は普通の英文でも、正式な文書でも、基本的に1スペースが標準になっています。Microsoft Writing Style Guideも、ピリオドの後は「2つではなく1つのスペース」と明記しています。
面白いことに、Chicago Manual of Styleの歴史を見ると、1982年の第13版ではタイプ原稿の見本がまだ2スペースでした。それが1993年の第14版では1スペースになり、2003年の第15版では1スペースにすることが明確に規定されました。
つまり、私が英文タイプを習った頃の「2スペース」は間違いだったわけではありません。当時のタイピングでは、それが普通だったのです。
タイプライターでは一文字一文字の幅が同じだったため、文の区切りを分かりやすくするために広めのスペースを取る習慣がありました。でも、コンピューターとプロポーショナルフォントが一般的になり、1スペースが標準になっていきました。
紙の英文ビジネスレターはなくなったの?
もちろん、正式なbusiness letterの形式そのものがなくなったわけではありません。現在でも、差出人住所、日付、宛先、salutation、本文、closing、署名など、基本的な構成は残っています。
Purdue UniversityのWriting Labを見ると、現在でも
・Block Format
・Modified Block
・Semi-Block
の3種類が紹介されています。
そして、最も一般的なのはBlock Formatで、すべてを左揃えにします。
Modified Blockでは日付や結びなどを中央寄りに置き、Semi-Blockではさらに段落の最初をインデントします。
つまり、私が秘書学校で習ったレタースタイルは「昔の間違った形式」になったわけではなく、今でも存在しています。
ただ、仕事上の通信の中心が紙のletterからe-mailへ移ったため、昔の秘書のように何種類ものレタースタイルを使い分ける機会が大幅に減ったのでしょう。
「Mr.」から「Mr」へ――これは英米の違いも
もう一つ面白いのが、
Mr. Smith
と
Mr Smith
です。
これは単なる「最近の省略」ではなく、英語圏によるスタイルの違いもあります。
英国ではMr、Mrs、Drなどにピリオドを付けない書き方が一般的です。英国政府GOV.UKのスタイルガイドでもMr、Mrs、Drのようにピリオドなしで表記しています。
一方、アメリカ英語ではMr.、Mrs.、Dr.のようにピリオドを付ける書き方が一般的です。
「ラジオビジネス英語」の柴田先生はヨーロッパで長く仕事をされていたので、番組で紹介されるビジネス英語にも、イギリス・ヨーロッパ系の国際ビジネス英語の感覚が反映されているのかも知れません。
Dear Mr Smithの後の「,」までなくなった?
ここはさらに興味深いところです。
番組では、
Dear Mr 〇〇
Regards
のように、コンマも省略する最近のスタイルを紹介していました。
ただし、これは「現在はコンマを付けると古い」という意味ではありません。
British Councilの現在のビジネスメール教材では、
Dear Mr Piper,
Regards,
のように、今でもコンマを付けています。
一方、ビジネスレターには昔から「open punctuation」という、salutationやclosingの後に句読点を置かないスタイルもあります。Purdue Universityも現在のビジネスレター解説でこの形式を紹介しています。
つまり、
Dear Mr Smith,
Regards,
も、
Dear Mr Smith
Regards
もあり得るということ。
会社や組織のhouse styleによっても違うようです。
「英文レターが変わった」というより、仕事のコミュニケーションが変わった
こうして調べてみると、私が感じた「昔とずいぶん違う!」には、いくつもの変化が重なっていました。
- タイプライターからPCへ。
- 文末の2スペースから1スペースへ。
- 紙のbusiness letterからe-mailへ。
- フォーマルなDear中心の通信から、社内ではHiも普通の時代へ。
- アメリカ英語だけでなく、イギリス英語を含むinternational business Englishへ。
私は秘書を辞めてからかなり年月が経っていますし、「ラジオビジネス英語」を聞きながら、いつの間にこんなに変わったの?と思ったのですが、昔秘書学校で習ったことが間違いではなく、その時代にはそれが正しいビジネス英語だったのです。
言葉だけでなく、その「見た目」や「型」も時代とともに変わる。昔英文タイプを習った者としては、なかなか興味深い変化です。
<参考にした資料>
●Chicago Manual of Style — One Space or Two?
●Microsoft Writing Style Guide — Periods
●Purdue OWL — The Basic Business Letter
●British Council — Starting and finishing emails
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