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現在、Sandi Patty(旧Patti)のYouTubeで「The Lord's Prayer(主の祈り)」が聴けることを嬉しく思います。30数年前転職活動中に、キリスト教書店で彼女の美しい歌声に出会いました。面接の帰りで落ち込んでいましたが、彼女の歌声によって癒されたことを覚えています。
当時はカセットテープで、その後CDを購入しました。落ちたと思っていた会社も採用されて、嬉しかったという忘れられない思い出です。下記は彼女が歌っている歌詞で、これはKing James Versionそのままです。何度も聴いているうちに、英語の「主の祈り」をいつの間にか覚えました。
・・・Our Father which art in heaven, Hallowed be thy name.
Thy kingdom come. Thy will be done in earth, as it is in heaven.
Give us this day our daily bread.
And forgive us our debts, as we forgive our debtors.
And lead us not into temptation, but deliver us from evil:
For thine is the kingdom, and the power, and the glory, for ever. Amen.
(Matthew 6:9-13 KJV)
かなり久しぶりになりますが、「主の祈り」の原書を調べてみました。古典ギリシャ語の原書(聖書アプリのTHGNT)は下記テキストに書いた通りです。word by wordの直訳は「Bible Hub」を使いました。下枠のNKJVはNew King James Versionで、私が個人的に原書に近いと思っている英語の聖書です。
黄緑色のフォントは動詞、オレンジ色は名詞になります。なお、文法的な詳細は、「Blue Letter Bible」をご参照下さい。(Blue Letter Bibleの英訳はNASB95ですが、対訳にブランクが多いので、NASB95は使っていません。)
προσεύχεσθε(プロセウケスセ)
語根:προσεύχομαι(プロセウコマイ:祈る)
English:pray
意味:祈りなさい
文法:動詞・現在・命令法・2人称・複数
πάτερ(パテル)
語根:πατήρ(パテール:父)
English:Father
意味:父よ
文法:名詞・呼格・男性・単数
οὐρανοῖς(ウラノイス)
語根:οὐρανός(ウラノス:天、空)
English:heavens
意味:天
文法:名詞・与格・男性・複数
ἁγιασθήτω(ハギアステートー)
語根:ἁγιάζω(ハギアゾー:聖別する、聖なるものとする)
English:let it be sanctified / hallowed
意味:聖なるものとされますように
文法:動詞・アオリスト・受動態・命令法・3人称・単数
ὄνομά(オノマ)
語根:ὄνομα(オノマ:名前、名)
English:name
意味:名、御名
文法:名詞・主格・中性・単数
οὐρανοῖς は「天」を意味する οὐρανός の複数形で、直訳すれば heavens ですが、英語聖書では自然な英語として heaven と訳されています。聖書ギリシャ語では「天」は単数形でも複数形でも表されます。実際すぐ後(10節)には単数形の οὐρανῷ が使われています。
ἐλθέτω(エルセトー)
語根:ἔρχομαι(エルコマイ:来る)
English:let come
意味:来ますように
文法:動詞・アオリスト・能動態・命令法・3人称・単数
βασιλεία(バシレイア)
語根:βασιλεία(バシレイア:王国、支配)
English:kingdom / reign
意味:王国、支配、御国
文法:名詞・主格・女性・単数
γενηθήτω(ゲネーテートー)
語根:γίνομαι(ギノマイ:なる、生じる、起こる)
English:let be done
意味:実現しますように、行われますように
文法:動詞・アオリスト・受動態形(意味は「なる・生じる」)・命令法・3人称・単数
θέλημά(セレーマ)
語根:θέλημα(セレーマ:意志、望み)
English:will
意味:意志、御心
文法:名詞・主格・中性・単数
οὐρανῷ(ウラノー)
語根:οὐρανός(ウラノス:天)
English:heaven
意味:天
文法:名詞・与格・男性・単数
γῆς(ゲース)
語根:γῆ(ゲー:地、大地)
English:earth
意味:地
文法:名詞・属格・女性・単数
NKJVの「Your kingdom come.」の come は comes の間違いではなく、願いや祈りを表す仮定法です。「May Your kingdom come.」とすると意味が分かりやすく、「あなたの御国が来ますように」という意味になります。
同様に 「Your will be done.」も「May Your will be done.」となり、「あなたの御心が行われますように」という意味です。
ἄρτον(アルトン)
語根:ἄρτος(アルトス:パン)
English:bread
意味:パン
文法:名詞・対格・男性・単数
δὸς(ドス)
語根:δίδωμι(ディドーミ:与える)
English:give
意味:与えてください
文法:動詞・アオリスト・能動態・命令法・2人称・単数
「τὸν ἄρτον ἡμῶν τὸν ἐπιούσιον」 は、直訳すると 「the bread of us, the daily」のような語順です。ἡμῶν は “our(私たちの)”、後半の τὸν ἐπιούσιον は前の τὸν ἄρτον(the bread) を修飾しており、全体で “our daily bread” となります。冠詞と形容詞が τὸν ~ τὸν ἐπιούσιον と同じ男性・単数・対格になっています。
ἄφες(アフェス)
語根:ἀφίημι(アフィエーミ:放す、去らせる、赦す)
English:forgive / release
意味:赦してください
文法:動詞・アオリスト・能動態・命令法・2人称・単数
ὀφειλήματα(オフェイレーマタ)
語根:ὀφείλημα(オフェイレーマ:負債、借り)
English:debts
意味:負債、負っているもの
文法:名詞・対格・中性・複数
ἀφήκαμεν(アフェーカメン)
語根:ἀφίημι(アフィエーミ:放す、赦す)
English:we forgave / we have forgiven
意味:私たちは赦しました
文法:動詞・アオリスト・能動態・直説法・1人称・複数
ὀφειλέταις(オフェイレタイス)
語根:ὀφειλέτης(オフェイレテース:負債のある人、債務者)
English:debtors
意味:負債のある人々、私たちに負い目のある人々
文法:名詞・与格・男性・複数
日本語の主の祈りそのものでは「罪」となっており、口語訳では「負債」となっています。原語の ὀφειλήματα(opheilēmata)は、文字どおりには「負債、借り(debts)」という意味です。ここでは、神に対する「罪」を「負債」にたとえて表しています。続く ὀφειλέταις(opheiletais)も「負債を負っている人々(debtors)」という意味です。
εἰσενέγκῃς(エイセネンケース)
語根:εἰσφέρω(エイスフェロー:中へ運ぶ、導き入れる)
English:bring / lead into
意味:導き入れる
文法:動詞・アオリスト・能動態・接続法・2人称・単数
πειρασμόν(ペイラスモン)
語根:πειρασμός(ペイラスモス:試み、試練、誘惑)
English:temptation / trial / testing
意味:試み、試練、誘惑
文法:名詞・対格・男性・単数
ῥῦσαι(ルーサイ)
語根:ῥύομαι(ルオマイ:救い出す、解放する)
English:deliver / rescue
意味:救い出してください
文法:動詞・アオリスト・中動態・命令法・2人称・単数
ἐστιν(エスティン)
語根:εἰμί(エイミ:~である、存在する)
English:is
意味:~です、~である
文法:動詞・現在・能動態・直説法・3人称・単数
βασιλεία(バシレイア)
語根:βασιλεία(バシレイア:王国、支配)
English:kingdom / reign
意味:国、王国、支配
文法:名詞・主格・女性・単数
δύναμις(ドゥナミス)
語根:δύναμις(ドゥナミス:力、能力)
English:power
意味:力、権能
文法:名詞・主格・女性・単数
δόξα(ドクサ)
語根:δόξα(ドクサ:栄光、栄誉)
English:glory
意味:栄光、栄え
文法:名詞・主格・女性・単数
αἰῶνας(アイオーナス)
語根:αἰών(アイオーン:時代、世、永遠)
English:ages
意味:時代、世々
文法:名詞・対格・男性・複数
ἀμήν(アメーン)
語根:ἀμήν(アーメン、まことに)
English:amen / truly
意味:アーメン、まことに、そのとおりです
文法:ヘブライ語
最後の部分は「頌栄」と呼ばれます。初期の重要なギリシャ語写本にはなく、口語訳や新改訳、NIVなどでは聖書本文に含まれていません。一方、後代の写本にはこの頌栄を含むものがあり、KJVやNKJVでは本文に採用されています。
日本の教会の礼拝では、古くから主の祈りの結びとして用いられ、現在も多くのプロテスタントの教会で唱えられています。個人で祈る場合も同様です。なお、実際のお祈りは、翻訳の日本語とは違って、このようになっています。
天にましますわれらの父よ。ねがわくは御名をあがめさせたまえ。
御国をきたらせたまえ。みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧を、今日も与えたまえ。
我らに罪をおかす者を、我らがゆるすごとく、我らの罪をもゆるしたまえ。
我らをこころみにあわせず、悪より救いいだしたまえ。
国とちからと栄とは、限りなくなんじのものなればなり。アーメン。
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